2年ぶりの「寿限無」

昨年まで務めていた学校の卒業式があり、来賓として参加してきました。
卒業式は、小さな学校ですので、1年生から5年生まで在校生全員が参加します。

卒業生も在校生も涙を流す、いい卒業式が終わりました。

来賓は控え室に戻り、式を終えた卒業生が記念撮影をすますのを待つことになります。

出されたお茶を飲みながら待っていると、「渡辺先生。」と3年生担任の先生が私を呼びます。
何か用事かなと廊下に出ると、「3年生の子達が、渡辺先生に会いたいって言うんですよ。来てもらえませんか。」と3年生担任の先生が言います。

3年生は1年生のときに担任していたのです。
28名の1クラスです。1学年1クラス、渡辺学級です。

断る理由はありません。
すぐに、3年生の教室に向かいました。… 続きを読む

接触の有無(「右」など)で×をつけない

昨日紹介した「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」を読んでいたら、QAのところに「そう言えば、いたいた。こんな些末なことで×をつけていた先生がいた。」と思わずつぶやいてしまった事例が載っていました。

それは、Q40 接触の有無(「右」など)です。
Q 「右」の「口」は「ノ」の部分に接触するように書くべきでしょうか。それとも接触しないように書くべきでしょうか。

先の先生は、接触していない(離れている)字を書いたら、×をつけて子どもに書き直させていたのです。
当然、些末すぎます。神経質すぎます。

このQに対するAは、こうなっています。

A どちらで書いてもよいものです。「右」という字に限らず,こうした接触の有無は,漢字の正誤の判断基準にはなりません。… 続きを読む

「木へん」がはねていても×ではない

ネットで、漢字テストの採点が厳しすぎると、ある先生が批判されています。
「木へん」がはねていたので、×としたのです。
おそらく、その先生は「漢字の許容」についての知識がなかったのだと思います。

文化庁が「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について」という報告を、平成27年の2月に行っています。
http://bit.ly/2HzwMSF

その「経緯」として、以下のように記されています。

漢字の字体・字形については,昭和24年の「当用漢字字体表」以来,その文字特有の骨組みが読み取れるのであれば,誤りとはしないという考え方を取っており,平成22年に改定された「常用漢字表」でも,その考え方を継承している。
しかし,近年,手書き文字と印刷文字の表し方に習慣に基づく違いがあることが理解されにくくなっている。また,文字の細部に必要以上の注意が向けられ,正誤が決められる傾向が生じている。

ネットでのこの先生への批判は、「文字の細部に必要以上の注意が向けられ,正誤が決められた」ことへの批判なのです。
そして、このことは、「経緯」にあるように以前からずっと同じ考え方が示されてきたので、心ある先生なら、そのような×をつけることはなかったのです。… 続きを読む