交通事故・他殺・自殺の死者数の「利用可能性ヒューリスティクス」

昨日、世界の自動車事故と航空機事故の死者数を比べてみました。
では、日本では自動車事故と航空機事故の死者数はどうなっているのでしょう。

警察庁が発表した2017年の交通事故による死者数は3694人です。

一方、厚生労働省が発表した航空機事故の死者数は8人です。
ただ 旅客用の飛行機による死亡事故は0で、死者数は0なのです。
厚生労働省 平成28年(2016) 航空交通事故の動向
http://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h29kou_haku/pdf/zenbun/h28-3.pdf

交通事故による死者数  3694人
航空機事故による死者数   8人

航空機の安全なことが、あらためてわかると思います。

では、毎日、たくさんテレビでドラマ放送されている「殺人」(他殺)による死者数はどのくらいなのでしょう。

他殺による死者数は、290人なのです。思ったより、少ないですよね。
厚生労働省 平成29年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai17/dl/h6.pdf

もっと見ていきましょう。

この他殺ですが、290件のうち、

・首を絞められた死者数  107人
・刃物で刺された死者数  99人

なのです。
DIAMOND ONLINE 和泉虎太郎  「統計で読み解くニッポン」
https://diamond.jp/articles/-/153462

では、刑事ドラマなどでよく見られるピストルによる死者数はどうでしょう。

・拳銃等の発射による死者数 2人

たった2人です。

もうおわかりですね。
「日本ではピストルによる凶悪事件が大量に起こっていてとても心配だ」というのは、刑事ドラマが毎日流されたり、まれに起こる凶悪事件が強烈な印象を引き起こしたりすることで生ずる「利用可能性ヒューリスティク」なのです。

さて、もっと多い死因は何でしょう。
それは、自殺です。

交通事故による死者数  3694人
他殺による死者数     290人
自殺による死者数    20431人

圧倒的な数です。
微妙な問題でしょうが、これだけの死者数があることを考慮すると、自殺に関する教育もどこかで行う必要があるのです。