「90%助かる」手術、「10%死ぬ」手術

成功したら「90%助かる」手術、失敗したら「10%死ぬ」手術。
あなたはどちらの手術を受けますか。

じっくり考えてもらえばわかるように、実はこの2つの手術は、どちらも同じ内容の手術です。
しかし、たとえ内容が同じでも、見せ方や表現を変えるとずいぶん印象が変わりますね。
このような心理作用を、「フレーミング効果」と言います。

フレーミングのフレーム(Frame)とは、絵の額縁(フレーム)のことです。物事をどのようにフレームで切り取るかによって、見え方が変ります。 つまり、フレーミング効果とは、物事の本質とは別に、どこにスポットを当てて強調するかで印象が変わる効果なのです。

冒頭の、成功したら「90%助かる」手術、失敗したら「10%死ぬ」手術の選択問題は、フレーミング効果を扱う上で有名な事例です。 もう一度詳しくみていきましょう。

あなたが重い病気になって医師から手術を勧められます。ただ大きな手術は不安です。
医師から2つの手術プランがあると言われました。あなたはどちらの手術を受けたいと思いますか。

A案:手術を受けた100人のうち、1年後に90人が生存している手術
B案:手術を受けた100人のうち、1年後に10人が亡くなっている手術

冷静に見るとどちらも同じことを言っています。
しかし直感的に答えると多くの人はA案を選ぶのです。

それは、スポットの当て方が

A案では「助かる」
B案では「死ぬ」

だからです。

A案では助かることに目が向くので安心し、手術を受けたいと考えます。
しかし、B案では亡くなることに目が行ってとても不安になります。手術は受けたくないと考えるのではないですか。

ポジティブな要素(利益)にスポットを当てるフレームとネガティブな要素(損失)にスポットを当てるフレームのそれぞれで、人は判断を変える傾向があるのです。