平均を元に設計すると、誰にも当てはまらないものができ上がる

「平均」を使えば、だいたい誰にでも当てはまる、そんなことを考えがちですが、そんなことはありません。
それは、誤解です。

「平均」を考える上で、有名なエピソードがあります。

1940年代、アメリカ空軍では、飛行機の墜落事故が頻発していました。
原因をさぐっても、飛行機の構造や電気系統に異常はなく、パイロットの操縦スキルにも問題はありませんでした。
そこで、コックピットの設計に、目が向けられることになりました。

当時のコックピットは、多くのパイロットの体の寸法の平均値に合わせて設計されたものでした。

しかし、調べてみると、多くのパイロットから割り出した10箇所の平均的身体データすべてに当てはまるパイロットは、存在しなかったのでした。

要するに、平均値に合わせてコックピットを設計していたので、誰の体にも合わないコックピットができあがっていたのでした。

アメリカ空軍はこの結果を受けて、平均値を基準とするのではなく、パイロット個人の体のサイズに合わせてコックピットを調整できるようにしました。 … 続きを読む

平均所得が高すぎるという実感

昨日、相洋中学校の入学試験の算数問題を紹介して、「平均」がいかに当てにならないことを示しました。

今日は、私達がよく見聞きする「平均」も、当てにならないことを示したいです。
それは、「平均」所得です。

平成30年度の厚生労働省のデータによれば、平均所得は551万6千円です。
平成30年 国民生活基礎調査の概況
https://em-tr270.com/L90494/b300/113101

この平均値を見て、どう捉えるでしょうか。
「そんなに給料をもらってない。この平均の551万は高すぎる。」と私は思います。

自分のかつての給与を考えたり、民間で働いている息子たちの給与から推測しても、そんなにもらってない、平均は高すぎるというのが実感です。… 続きを読む

平均値・中央値・最頻値

時折、このメルマガのネタにならないかと、中学受験問題を取り上げる日能研の「シカクいアタマをマルくする」をチェックしています。

この2021年5月の相洋中学校の算数の問題は、そんなに難しくないのですが、私達の「平均」信仰を打ち破る問題だと思います。 https://em-tr270.com/L90494/b300/113091

その問題は、以下の通り。

「データを代表する値のことを代表値といい、代表値には平均値や中央値、最頻値(さいひんち)などがあります。
(以下、中略)

(問2)あるクラスの生徒15人が、この1か月間に読んだ本の冊数は下のようになりました。このデータの平均値、中央値、最頻値は、それぞれ何冊ですか。

1・2・1・4・2・1・3・1・12・1・3・3・51・0・2

(問3)(問2)のようなデータのとき、平均値は代表値としてあまり適当ではありません。その理由を簡単に説明しなさい。」

(問2)の答えです。… 続きを読む