落語「芝浜」

山口県阿武町の4630万円誤送金問題が、巷を賑わしています。

そんな降って湧いた、思いがけないお金にまつわる有名な落語があるのだそうです。私は、その落語のことを知らなかったので、調べてみると、いいお話です。 「芝浜」という落語ですので、Wikipediaのあらすじを引用して紹介します。
https://em-tr271.com/L90494/b300/117161
なかなか省略しにくく、少し長いのですが、ご容赦ください。

天秤棒一本で行商をしている魚屋の勝五郎は、腕はいいものの酒好きで、仕事でも飲む事にかまけて売り物の魚を腐らせるなど失敗が続き、次第に客の信用と働く意欲を失い、借金も嵩んで自堕落な生活に陥っていく。

その日も女房に朝早く叩き起こされ、嫌々ながら芝の魚市場に仕入れに向かう。
しかし時間が早すぎたため市場はまだ開いていない。誰もいない夜明けの浜辺で顔を洗い、煙管を吹かしているうち、足元の海中に沈んだ革の財布を見つけ、開けてみると中には大金が入っている。 勝五郎は「これで一生遊んで暮らせる」と有頂天になって自宅に飛んで帰り、さっそく飲み仲間を集めて大酒を呑む。
翌日、二日酔いで起き出した勝五郎に向かって女房が「こんなに呑んで支払いをどうする気なの?」と怒る。勝五郎は「昨日拾った財布の金で払えばいいだろ」と答えるが、女房は「そんな物は知らない、お前さんが金欲しさのあまりに酔ったまぎれの夢に見たんじゃないの?」と相手にしない。 つくづく身の上を考え直した勝五郎は「これじゃいけねえ」と一念発起し、酒を断って真面目に働き始める。

そうして仕事に打ち込むうちに久しく忘れていた商いの楽しさを思い出していき、3年後には表通りにいっぱしの店を構える事ができ、借金を完済して生活も安定し、身代も増えた。 そしてその年の大晦日の晩のことである。勝五郎は妻に対して献身を労い、頭を下げる。すると女房は、3年前の財布の件について告白を始め、真相を勝五郎に話した。

あの日、勝五郎から拾った大金を見せられた女房は困惑した。十両盗めば首が飛ぶといわれた当時、横領が露見すれば死罪だ。長屋の大家と相談した結果、大家は財布を拾得物として役所に届け、女房は勝五郎の泥酔に乗じて「財布なんて最初から拾ってない」と言いくるめる事にした。
時が経っても落とし主が現れなかったため、役所から拾い主の勝五郎に財布の金が下げ渡されたのだが、女房はその事で亭主が元の木阿弥になる不安から今まで言い出せず、彼の「客が自分の売る魚をおいしく食べてくれるのが心底嬉しい」という言葉にようやく「今のこの人なら大丈夫だ」と安堵して、真相を話す事を決意したという。

事実を知り、例の財布を見せられた勝五郎はしかし女房を責める事はなく、道を踏み外しそうになった自分を真人間へと立ち直らせてくれた女房の機転に強く感謝する。 そして女房は懸命に頑張ってきた夫を労い、「久し振りに酒でも」と勧める。始めは拒んだ勝五郎だったが、やがておずおずと酒をついだ湯呑みを手にする。 そして一旦湯呑みを口元に運ぶが、不意に手を止める。
「よそう。また夢になるといけねえ」

最後のせりふが落語ですねぇ。
なんでも、噺のクライマックスが大晦日であることから、年の暮れに演じられることが多いのだそうです。

ぜひ、YOUTUBE等を使って、聞いてみてください。