「内発的動機づけ」はどのように発見されたのか1

「内発的動機づけ」なる概念を、皆さんはよくご存知だと思います。 教育心理学を学ぶ際の重要な概念ですね。
そもそも、この内発的動機づけなる概念はどのように発見されたのでしょうか。 それは、外発的動機づけを研究している最中に、外発的動機づけでは説明しきれないものとして発見されたのです。
これって、けっこう意外な感じがしませんか。 自分たちが研究している概念とは全く異なる概念で、人は動くということが実験の中で出てしまったわけです。
少し先走りすぎました。
そもそも、外発的動機づけが研究されるきっかけがあったわけです。 外発的動機づけとは、心理学が勃興した際まず起こった「無意識の研究」=深層心理学に対立するものとして起こった刺激・反応理論=行動心理学における概念です。
深層心理学は、有名なフロイトやユングといった学者が唱えたものです。精神分析学とも言います。 ただ、心理学という名前がついているとは言え、実証されることはなく、そのように解釈・説明をしたということができます。
この精神分析学に反発するものとして、刺激・行動理論が主張されました。 この刺激反応理論とは、人は行動する際、何らかの刺激に対して反応することで行動するという理論です。オペラント条件づけなんて言われますね。
ただ、この刺激・反応理論は、人の理論として設定されていますが、そもそもは動物で実験したその結果を人間に当てはめたものなのです。 その点に、理論に無理が生ずるのも当然だという気がします。
その動物実験を行っていた人物に、ハリー・ハーロウ教授がいます。 このハーロウ教授の実験から、内発的動機づけが発見されたのです。