「生存者バイアス」とは

「生存者バイアス」という認知の偏りがあります。
それは、失敗したこと(人)に目を向けずに、成功した(生き残った)こと(人)に目を向けて判断してしまって、歪んだ思考をしてしまう認知の偏りです。
この生存者バイアスの有名な例があります。 それは、第二次世界大戦において、アメリカで行われたもので、できる限り撃墜されずに帰還するために、戦闘機の補強を研究したものです。
まず、帰還した飛行機の損傷個所について調べ、損傷している個所を改良・補強するように考えたのです。 しかし、これは不合理だと思いついたのです。
なぜなら、帰還できた飛行機は、致命的な損傷を受けなかったからこそ、帰還できたわけです。
敵からたくさんの弾を受けても、なんとか帰ってこれたのは、その弾が当っても致命的でなかったということなのです。
とすると、本来調べ、参考にすべきは、失敗した事例である撃墜された飛行機となります。 そう、撃墜された飛行機の損傷を調べて、そこを補強すべきなのです。
ですが、撃墜された飛行機はなかなか発見されません。 ですから、撃墜に至った致命的な損傷箇所はわかりにくいのです。
だったら、帰還した飛行機の損傷箇所以外を調べて、そこを補強すればよいとなります。
このように、生存者=成功した人のみを見て、それが「当たり前」と考えて、それ以外の脱落者=失敗した人のことを見なくなることが、往々にしてあるのです。
うまくいった人は、「たまたま生き残った」という視点を忘れてはなりません。