ワイドショーとCMが「利用可能性ヒューリスティクス」を生み出し、増幅させ る

最近、「利用可能性ヒューリスティクス」を生み出し、増幅させる装置となっているのが、テレビのワイドショーとCMだと思います。

テレビのワイドショーとCMは、くり返し特定の強烈な情報を流し続けることによって、視聴者が想起する事柄をコントロールします。 そうやって、簡単に思いつくものの確率を高く見積もるらせるのです。

例えば、「宝くじ」のCMです。
高額な宝くじに当たって、裕福な生活に激変するイメージのCMをくり返し見ていると、自分も当たる気になってきますね。
でも、宝くじに当たる確率って、どのくらいかわかっているのでしょうか。

ジャンボ宝くじを1枚購入して1等が当選する確率は、1000万分の1=0.00001%なのです。
ジャンボ宝くじは1000万枚を「1ユニット」と呼ばれる単位で販売されていて、1等は1ユニットの中に1本しかないので、その当選確率は1000万分の1=0.00001%なのです。
0.00001%の確率と言われてもピンときませんが、東京23区の人口が約1000万人なので、東京23区に住む人が全員1枚ずつジャンボ宝くじを買って、やっと1人当たるぐらいの確率です。 これで、当たる気がしますか。

例えば、「サッカー日本代表」です。
サッカー日本代表が世界でも活躍できると必要以上に期待してしまうのは、ニュースやワイドショーで日本選手のシュートシーンの映像を何度も見せられているからです。私たちは、いつの間にか本来の選手の実力を課題に評価してしまっているのです。 なんと言っても、日本のFIFAランキングは60位なのです。

さて、
アメリカで、「危険な職業ランキング」なるものが発表されたことがあります。
それに伴い、このランキングをふせて「警察官と木こりでは、どちらが危険な職業か」という質問を人々にしたのです。
すると、「警察官」と答える人の方が多かったのです。

しかし、実際には木こりが職務中の事故で亡くなることが、警察官より多いのです。
これは、犯人との銃撃戦といった警察官の仕事の「危険なイメージ」がニュースや映画などによって人々の心に植え付けられ、人々は警察官の仕事を実際以上に危険なものとしてイメージしたのです。 「アメリカにおける最も危険な仕事トップ10を比べてみた」
https://money-academy.jp/dangerous-task/

私たちは、「利用可能性ヒューリスティクス」にだまされてはなりません。
校長先生や指導主事の先生が、くり返し何度も強調していることが、必ずしも科学的に正しいとは限りません。
自分の目と頭と心で確かめてください。