「気に入らなければ返金ok」は「保有効果」をねらっている

昨日、「保有効果」について話題にしました。人には、持っているモノを高い価値があると考える心理的傾向があり、それを「保有効果」と言うのですね。 実は、この「保有効果」、通販の返品を受け付けますと言う仕組みにも応用されているのです。

テレビショッピング、通販サイトなどにおいて「気に入らなければ返金ok」という保証を見かけます。
こんな文言です。

万が一、商品にご満足頂けなかった場合は、30日以内に返品頂ければ、ご使用後でも全額返金いたします

しかし、実際に返品して返金を求める人は、実はそんなに多くありません。
これって「一度自分のものになったら手放しにくくなる」保有効果なのです。

購入してその商品を自分のものにすると、「使ってそんなに悪くないものだ」「悩んで買ったんだし、返品しないでこのまま使おう」とその商品を手放したくないと考える可能性が高くなります。

返金保証をつけて「買う時の心理的なハードルを低くする」ことで、結果的にはもっともうかる可能性が高まるのです。
ドンと言い切ってしまえば「返金保証をつけた方がもうかる」のです。… 続きを読む

「保有効果」マグカップ実験

同じモノでも、それが自分のモノか他の人のモノかによって、感じる価値が変わることがあります。
ノーベル経済学賞を受賞したセイラー博士らの実験に、マグカップの売買の実験があるのです。
「行動経済学入門」リチャード・セイラー

こんな実験です。

実験参加者の半分の学生たちに、学校のロゴ入りのマグカップを一つ渡します。
大学の購買部で、通常6ドルで販売されているものです。
そして、「マグカップを売るとしたら、最低いくらなら売りますか?」と質問します。

残りの半分の学生たちには、マグカップは渡さず「マグカップを買うとしたら、最大いくらまで支払いますか?」と質問します。

それぞれ、いくらと言ったと思いますか。

すると、マグカップを手にしていないグループは平均で2.87ドルなら支払ってもよいと言ったのです。… 続きを読む

落ちていく学級の掲示物は曲がっている

教室の前の黒板側と背面側ではなく、教室の横に係の掲示物や子供のちょっとした作品が掲示されていることがあります。
乱れている学級の掲示物や作品は、曲がったり、はがれかけたりしています。
落ちていく学級の様子をそのまま表しているようです。

教務主任をやっていたとき、管理職が不在の時には、私が代わって放課後の校内巡視を行っていました。
その時、教室の窓の施錠を確認するために入った教室の様子は、その学級の様子を投影しているように思えました。

中谷彰宏氏は、会社に貼ってあるポスターの傾きによって、会社の傾きそのものを感じとっていると書いています。

ミーティングルームに行くと、その会社のポスターが貼ってあることがあります。
へこんでいく会社のポスターは傾いています。
その会社の傾きをそのまま象徴しています。

「なぜあのリーダーに人がついていくのか」 … 続きを読む