「保有効果」マグカップ実験

同じモノでも、それが自分のモノか他の人のモノかによって、感じる価値が変わることがあります。
ノーベル経済学賞を受賞したセイラー博士らの実験に、マグカップの売買の実験があるのです。
「行動経済学入門」リチャード・セイラー

こんな実験です。

実験参加者の半分の学生たちに、学校のロゴ入りのマグカップを一つ渡します。
大学の購買部で、通常6ドルで販売されているものです。
そして、「マグカップを売るとしたら、最低いくらなら売りますか?」と質問します。

残りの半分の学生たちには、マグカップは渡さず「マグカップを買うとしたら、最大いくらまで支払いますか?」と質問します。

それぞれ、いくらと言ったと思いますか。

すると、マグカップを手にしていないグループは平均で2.87ドルなら支払ってもよいと言ったのです。
それに対して、マグカップを渡されすで手にしているグループは、平均で7.12ドルなら売ってもよいと言ったのです。

不思議ですね。
マグカップを渡された学生は、マグカップコレクターでもマグカップに愛着を持っていたわけでもありません。
しかし、そのモノを手渡されたかどうかの違いだけで、同じモノの価値ががらりと変わってしまったのです。

こんな実験が繰り返された結果、売値と買値の比率はだいたい2倍になることがわかっています。

セイラー博士は、持っているモノを手放したくない(高い価値がある)と考える傾向を「保有効果」(endowment effect「授かり効果」とも言います)と名付けました。

私は、この「保有効果」について、最近実感したことがありました。
それは乗っていた車を買い替える際に、中古車の下取りに出したことです。

5年間、その車を保有し乗っていました。
きれいに乗っていてそんなに汚れていない、走行距離もそんなに長くないので、ひそかに?十万円で買い取ってくれると思っていました。 しかし、あっさり、2分の1以下の買い取り値段を言われてしまったのです。
中古車相場のことを言われても、なんだか、納得しがたい気分でした。
もっと価値があると、私は思いました。

まあ、こちらもねばって、?万円を上乗せしてもらってたのですが。

「保有効果」おそるべし。