不登校の子に対する登校刺激の是非

ある時期から、不登校の子に対して、登校刺激はしない方がよいということが盛んに言われるようになりました。
これは、現在も続いていると思いますが、「登校刺激をすることで、学校に行けないことを思い出し、罪悪感が生まれるのでかわいそうだ」というのが主な理由だと思います。 しかし、そんな「一律に」登校刺激をしないという方針でよいのでしょうか。

私は、そんなことないと考えて、不登校だった子を担任すると、その子の家を訪問してあの手この手を使って、登校するよう促していました。 そして、私の場合は、再登校するようになったのです。

この2日間、紹介してきた長崎県立こども医療福祉センターの小柳憲司氏も、同じような悩みを抱えていたと著書に書いています。

私が、このような仕事を始めた平成の初め頃は、「不登校の子どもに登校刺激をしてはいけない」というのが金科玉条の時期でした。それまで一般の小児医療の中で、子どもに「頑張って治療して早く元気になろう」と言い続けてきた若い医師にとって、何の刺激もせず、ただ見守るだけというのは非常にもどかしいものでした。

そして、小柳氏は「やっぱり学校には行った方がいい」と明確に言う先生のところに研修に行き学びます。
そこで学んだのは、「現実を直視し、今できることをやろう」ということだったのです。

小柳氏は、以下のように、登校刺激の判断を提示しています。
不登校の子は心のエネルギーが低下しています。
そのエネルギーの状態によって、刺激したことがよいか、しない方がよいか判断すべきなんです。

心のエネルギーが極度に少なければ、エネルギーを元に戻すことか最優先です。
登校刺激はしません。

ですが、心のエネルギーが休むことで、元に戻ってきたら「家で何もすることがないことがストレス」になってきます。
こうなったら、登校刺激をしていきます。

私の受け持った不登校の子は、家で元気な振る舞いをしていました。
心のエネルギーがあった子だったのです。

ぜひ、その子をよく見て、登校刺激について判断してほしいです。

「学校に行けない子どもたちの対応ハンドブック」小柳憲司