「指名のリレー」の弊害 その2

まだ、あたたかいコミュニティ・クラスになっていない段階で「指名のリレー」を行うと、弊害の方が大きいと、昨日ある授業の例を使って示しました。

実は、私はこんな授業も見たことがあるのです。

算数の授業。
分数の足し算。課題「分数の足し算のやり方を考えよう」
問題解決学習の授業。いろいろなやり方で、同分母同士の分数の足し算を解き、練り上げと称して、そのいろいろなやり方に共通する考え方をまとめていく授業でした。

その共通する考え方を発表していきます。
教師が、ある子を指名しました。その子は、
「同じ分け方なので、そのいくつ分同士を足し算すればよい」と発表しました。
その発表をうけ、教師は「誰かを指して下さい。誰でもいいですよ。」と指示しました。
その子は、すかさず、「S君、答えて下さい。」と指名しました。S君の手は挙がっていないのです。
S君は、いきなり指名されたこともあり、しどろもどろになって答えました。
そのS君は、続けて「T君、答えて下さい」と、これまた、挙手していないT君を指名したのです。
T君は、立ち上がったが、押し黙ったままでした。どう答えてよいかわからないのです。
S君は、にやにや笑っていました。

これは、とても残念なことに、

「指名のリレー」が、相手を困らせる手段として使われている

のです。
「指名のリレー」が「いじわるのリレー」になっています。

指名は、本来、先生に責任があリます。意図的に、即応的に、効果的に、コントロールしていくべきものです。
まだ、あたたかいクラスになっていない段階で、先生だけがコントロールできることを、子どもに任せてはいけません。

昨日に続けて、繰り返します。
子ども同士が指名し合う。そんな形式的なことだけを行っても、クラスの子ども達の心はつながりません。

あたたかい人間関係がすでに構築されている集団なら「指名のリレー」はOKです。
しかし、あたたかい人間関係を作っている段階では、弊害の方が大きいのです。