百人一首の興味深い発展授業を、教育トークライン2022年2月号において、坂本佳朗氏が提示しています。
「夜明けを表す多様な日本語〜朝ぼらけと暁の違いから〜」
https://em-tr271.com/L90494/b300/115981
「朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木」
この百人一首の時間帯は、朝ですね。
辞書には、朝ぼらけは夜明けとあります。
「有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり うきものはなし」
この百人一首の時間帯も、朝ですね。
辞書には、暁は夜明けとあります。
どちらの歌も朝の歌であることを確認した後、坂本氏はこのように問うのです。
「朝ぼらけは、暁より早い時間ですか。遅い時間ですか」
おもしろい発問です。
これは、「川霧」「網代木」に注目されるのです。
とにかく、明るくなっていないと、「川霧」や「網代木」が見えるはずがからです。
ですから、曙より朝ぼらけの方が遅い時間となります。
(ちなみに、暁は曙光がさしだす前の、まだ暗い時刻のことを言います。)
そして、坂本氏は、生徒に、夜明けから早朝を指す言葉を捜させるのです。
日本には、暁、あけぼの、しののめ、朝ぼらけ、あした・・・など、多くの語彙があって、微妙に使い分けていたことがわかります。 ほんとに繊細です。