教職に就かないのは、待遇よりも自分の時間を削られることへの不安が大きい

最近、教職に就く人が減っています。年度当初に、すでに人員不足であるのが、現在の学校のほとんどなのです。
そんな先生不足を解消することも念頭にあるのだと思うのですが、教職調整額をこれまでの4%から10%に増額することが答申されるというニュースが伝わってきました。
ですが、給与が少ないことが教職に就かない大きな理由かというと、そうでもないのです。
このことは、ある調査からも、わかるのです。
その調査とは、令和3年度に行われた、愛知県総合教育センターの「教職の魅力向上への課題に関する調査研究」です。(報告概要) em-tr271.com/L90494/b581/124861
その中に、教育実習に行ったのに教職を希望しなかった学生に、「あなたが希望を取りやめた理由について,次のことはどの程度当てはまると思いますか。それぞれ一つ選んでください。」と尋ねたアンケートがあります。
以下は、それぞれの項目に、「とてもよく当てはまる」と答えた学生の割合です。
・他にやりたい仕事が見つかったから 42.1% ・授業ができるか不安だから 29.6% ・教員としての適性がないと感じたから 27.0% ・部活動の指導ができるか不安だから 17.0% ・いじめや問題行動への対応ができるか不安だから 16.4% ・児童や生徒とコミュニケーションがとれるか不安だから 13.8% ・保護者とのコミュニケーションがとれるか不安だから 20.8% ・要望や苦情への対応ができるか不安だから 20.8% ・休日出勤や長時間労働のイメージがあるから 41.5% ・職務に対して待遇(給与等)が十分でないから 31.4% ・教員免許状取得のための単位数が多いから 20.8% ・教員免許状更新制度があるから 13.2% ・内定の時期が遅いから 6.9% ・教育実習が大変だったから(「未実施」を除く) 18.8%
ほら、待遇よりも自分の時間を削られること=休日出勤や長時間労働への不安が大きいのです。 この点を、まず解消していかなくては、教職に就こうとする人を増やすなんてことはなかなかできません。
「こんな方策で、これだけ長時間労働する先生が減りました。休日出勤する先生はわずかです。」という事実をアピールできるような施策が重要なのです。