試食・試供品・試着にも保有効果

ピンポーン。
「はーい。」
いつもの宅配便業者だと思って玄関に出て行くと、そこにはチラシを手にした女性が立っていました。

「ヨーグルトの宅配をするんですけど、いかがですか。」と言って、その女性はチラシを手渡しました。
その瞬間、私の脳裏にはさっと4文字が浮かびました。
保有効果。

結局、私は「結構です」と言って、早々に断わりました。

さて、
この試供品や試食といった仕組み。もしかしたら業者は損をしているじゃないかと思ったことはないですか。
そうですよね。ただで食べさせたり、使わせたりするんですから、業者にとっては持ち出しです。… 続きを読む

「気に入らなければ返金ok」は「保有効果」をねらっている

昨日、「保有効果」について話題にしました。人には、持っているモノを高い価値があると考える心理的傾向があり、それを「保有効果」と言うのですね。 実は、この「保有効果」、通販の返品を受け付けますと言う仕組みにも応用されているのです。

テレビショッピング、通販サイトなどにおいて「気に入らなければ返金ok」という保証を見かけます。
こんな文言です。

万が一、商品にご満足頂けなかった場合は、30日以内に返品頂ければ、ご使用後でも全額返金いたします

しかし、実際に返品して返金を求める人は、実はそんなに多くありません。
これって「一度自分のものになったら手放しにくくなる」保有効果なのです。

購入してその商品を自分のものにすると、「使ってそんなに悪くないものだ」「悩んで買ったんだし、返品しないでこのまま使おう」とその商品を手放したくないと考える可能性が高くなります。

返金保証をつけて「買う時の心理的なハードルを低くする」ことで、結果的にはもっともうかる可能性が高まるのです。
ドンと言い切ってしまえば「返金保証をつけた方がもうかる」のです。… 続きを読む

「保有効果」マグカップ実験

同じモノでも、それが自分のモノか他の人のモノかによって、感じる価値が変わることがあります。
ノーベル経済学賞を受賞したセイラー博士らの実験に、マグカップの売買の実験があるのです。
「行動経済学入門」リチャード・セイラー

こんな実験です。

実験参加者の半分の学生たちに、学校のロゴ入りのマグカップを一つ渡します。
大学の購買部で、通常6ドルで販売されているものです。
そして、「マグカップを売るとしたら、最低いくらなら売りますか?」と質問します。

残りの半分の学生たちには、マグカップは渡さず「マグカップを買うとしたら、最大いくらまで支払いますか?」と質問します。

それぞれ、いくらと言ったと思いますか。

すると、マグカップを手にしていないグループは平均で2.87ドルなら支払ってもよいと言ったのです。… 続きを読む