自閉症スペクトラム症の子が苦手な「語用論」

発達障害の子、特に自閉症スペクトラム症の子が、コミュニケーションが苦手というのは、相手とやり取りしている言葉以外の気持ちや意図を察することが苦手だからです。

こんな事例があります。

ある子がノートを書いていて、書き間違えました。消しゴムを忘れたので、隣の子に「消しゴム持ってる?」と尋ねました。

これに対して、
A君「持ってるよ」
消しゴムを見せてそのまま自分の筆箱にしまいました。

B君「はい、どうぞ」
消しゴムを手渡しました。

同じ「消しゴム持ってる?」という問いかけでも、場面や状況によって、その言葉にこめられた意図は異なってきます。
この子は、消しゴムを持っているかどうか尋ねたのではなくて、「消しゴムを持っているなら貸してください」と頼んでいるのです。… 続きを読む

学校の研究の2つのタイプ

昨日、学校における研究と研修の違いについて述べました。
今日は、学校における研究について、少し掘り下げて述べてみます。

私は、学校の研究には、二つのタイプがあると考えました。
一つは、「新しい指導法を開発する」というものです。
そして、もう一つは、「子供ができる・できない原因を明らかにする」というものです。

これは、医学に例えるとわかりやすいので、医学にあてはめてみます。

医学における「研究」とは、まず、新しい治療法・新薬を開発することです。
現在、新型コロナウイルスのワクチンの開発が急ピッチで進められています。このように、病気に対する治療法・新薬を開発することは、医学における研究の重要なテーマです。

そして、これを学校における研究に当てはめると、「新しい指導法を開発する」になるのです。
現在、これまた、急ピッチで行われているオンライン授業やGIGAスクール構想に合致した授業を作り上げるのは、このタイプに当てはまります。… 続きを読む

研究と研修の違い

中学校では、あまり馴染みがないことらしいのですが、小学校では、学校全体で行う研究が行われているところが多いと思います。
校内研究と言ったり、重点研究と言ったり、全体研究と言ったりします。

ただ、研究とは名ばかりで、実際は研修のことが多いのです。
そのことを自覚して、その研究に臨んでもらいたいと思っています。

では、研究と研修どう違うのでしょうか。

「研修」は、仕事をする上で必要となる能力を身に付けるために勉強することです。
一方、
「研究」は、物事を詳しく調べてその事実関係を明らかにすることを言います。

もう少し学校にひきつけて言うと、「研修」は、教師の授業の腕前を上げるのが目的となります。
法律にも、「研修に励まなくてはならない云々」と義務付けられています。… 続きを読む