「生存者バイアス」の例・体罰

「生存者バイアス」の、教育におけるわかりやすい例として、昨日紹介した部活以外には、「体罰」があります。
体罰を肯定する人たち(教師・保護者)は、次のような理由を提示します。
・体罰を受けたことによって、よりがんばろうとする気持ちになった ・体罰を受けたことによって、気持ちが引き締まった ・体罰を受けたことによって、相手が自分のことを強く考えていることを感じた
このような理由=肯定的な感情は、当人は嘘偽りのない本当の気持ちだと思います。 だからこそ、体罰を容認する発言を、ストレートに真顔でするのです。
しかし、このような肯定的な感情をもてた人たちの影には、たくさんの体罰で傷ついた人たちがいるのです。
・体罰によって自尊心を傷つけられた ・体罰によって意欲を損なわれた ・体罰によって相手を憎むことが生まれた
ただ、このような否定的な感情は失敗として捉えられることもあり、あまり表だって語られることがためらわれていた傾向があると思うのです。
ですから、そのような体罰に対して否定的な声があまり発せられてこなかったわけです。
しかし、体罰から生き延びてきた人からではなく、体罰で傷ついた人たちのことを意識しなくては、事態が改善されることはありません。
そのためには、自分がもしかしたら体罰における「生存者バイアス」に陥っていないか、しっかり我が身を振り返ることが大切なのです。
繰り返します。 もしかしたら、自分は「たまたま」うまくいって生き残って、今ここにいるということを、少しでも意識するようにしたいものです。