グライダー能力とともに、飛行機能力も

外山滋比古氏が亡くなったというニュースが流れました。7/30、96歳でした。
外山滋比古氏は、若い世代を中心に40年近く読み継がれているロングセラー「思考の整理学」の著者です。
ご冥福をお祈りいたします。

この「思考の整理学」において、教育の話題で多く語られるのは、「グライダー」という冒頭の章です。

引用します。

「ところで、学校の生徒は、先生と教科書に引っ張られて勉強する。自学自習という言葉こそあるけれど、独力で知識を得るのではない。いわばグライダーのようなものだ。自力では飛び上がることはできない。」
「グライダーと飛行機は遠くから見ると、似ている。空を飛ぶのも同じで、グライダーが音もなく優雅に滑空しているさまは、飛行機よりもむしろ美しいくらい。ただ、悲しいかな、自力で飛ぶことができない。」 「学校はグライダー人間の訓練所である。飛行機人間は作らない。」
(中略)
「人間には、グライダー能力と飛行機能力とがある。受動的に知識を得るのが前者、自分で物事を発明、発見するのが後者である。両者ははひとりの人間中に同居している。グライダー能力を全く欠いていては基本的知識すら習得できない。」 (中略)
「他方、現代は情報の社会である。グライダー人間をすっかりやめてしまうわけにはいかない。それならグライダーにエンジンを搭載するにはどうしたらいいのか。学校も社会もそれを考える必要がある。」

私たち教師は、子供達をグライダー能力とともに、飛行機能力も育てなければなりません。
それは、私の考えでは、認知能力(学力)を身につけさせながら、非認知能力(自尊心、やりぬく力、問題解決力等)をも育てることです。

この思考の整理学は、文庫本にもなっていますので、ぜひ読んでいただきたいです。