「一騎打ち」にもち込む

「ランチェスターの法則」なるものがあります。有名なので、ご存知の方も多いと思います。
イギリスの技術者ランチェスターが提唱した法則で、本来、軍事作戦の説明・遂行に使われるものです。
が、日本では、販売・経営戦略として知られています。販売も戦いという点で、軍事と共通するものがあるからでしょう。

ランチェスターの法則は、二つあります。

1 ランチェスターの第1法則 「一騎打ちの法則」
古代の戦闘のように1人と1人が戦う、一騎打ちの戦いの状態。
30人と20人で戦いを行っていくと、力が対等で互いにつぶし合うなら、一騎打ちの場合は30人の側が10人残り、20人の側は全滅するのです。

2 ランチェスター第2法則「集中効果の法則」
一騎打ちではなく、集団対集団の戦いの状態。
10人と5人が銃を持って、相手の集団を狙った場合、一回目の同時射撃で10人のグループは10発の弾丸を発射し、5人のグループは五発の弾丸を発射します。 すると10人のグループは、相手の五発の弾丸を受け、逆に五人のグループには10発の弾丸を受けることになります。

・10人に5発の弾丸が襲う=当たる確率は2分の1
・5人に10発の弾丸が襲う=当たる確率は2倍

集団対集団の戦場では、2倍の兵力があるとき、その戦力差は4倍になるのてす。

以上の二つの法則が示すことは、兵力が少ない側は「一騎打ちの戦い」に持ち込んだ方が勝てる可能性が高くなり、兵力が多い側は「集中効果のある戦い」に持ち込むと有利になるということです。

騒乱状態の教室においては、ボスが率いるやんちゃな子ども達の方が数的に優位です。それに対して、担任の教師はたった一人です。 このまま戦ったら、ランチェスターの「集中効果の法則」により、ボスが率いるやんちゃな子ども達が勝ちます。
ですから、教師はランチェスターの「一騎打ちの法則」に持ち込むのです。

具体的にはどうするか、やんちゃなボスを「切り離す」のです。
例えば、教師の目の前で明らかに悪いことをしたときに、「○○さん、立ちなさい」と言ってその子だけ立たせるのです。
こうすれば、「ボス対教師」の「一騎打ち」に打ち込めます。明らかにボスが悪いことをしたことについてのみ、教師は戦うので、この時は必ず勝つことができます。 このような戦いを続けていくのです。

できるわかる授業、楽しい学級経営はもちろん続けていきます。それが「核」です。
そして、その中で、こういった「一騎打ち」の戦いで少しずつ勝っていくと、教師の味方が増えてくるのです。
すると、ランチェスターの第二法則が使えるようになってきます。数的に優位に立つことができるのです。

前年度、荒れた学級を担任することになった先生、ジワジワと陣地を広げていきましょう。