「裸の王様」と「多元的無知」

昨日のメルマガで、トイレットペーパーの買い占め騒ぎについて、「多元的無知」という考え方を紹介しました。

もう少し、この「多元的無知」について、考えてみたいです。

「多元的無知」について調べていると、わかりやすい例として、たびたび出てくるのは「裸の王様」のお話です。

「裸の王様」の物語はご存じですね。

本当は、王様の服は誰にも見えていません。
しかし、「見えない」というと自分が「バカ」と思われることになリます。それに、他の人たちは、すばらしい服だと言っているので、自分も同じように言っておくのです。

そうすると、みんな王様の服が見えているように振る舞い、王様の服を褒め、だれも「王様は裸」とは言えない状態になってしまいます。

これが、「多元的無知」な状態です。

社会心理学では、多元的無知をこう定義しています。

「集団の多くの成員が、自らは集団規範を受け入れていないにもかかわらず、他の成員のほとんどがその規範を受け入れていると信じている状態」

こういう状態って、どの組織にも起こります。学校にもあります。

異動して新しい勤務先の学校に行くと、あれっと違和感を覚えることがあります。
それは、 もしかしたら「多元的無知」な状態かもしれません。

私は、異動して新しい勤務先の学校に行って、体育館を使用するときには、体育館履きという体育館専用のシューズに履き替えるきまりがあることに、びっくりしたことがあります。

なんと、その学校は1000人以上ある学校です。ですから、その体育館に朝会で全校児童が集まるたびに、体育館履きに履き替えるので時間がかかってしかたがありません。

それで、年度末会議で、「体育館履きはなくす」と提案したら、なんの反対もなく、即座に変更になりました。
みんなおかしいと思っていたのですね。

もし、あなたの所属する組織に、違和感のあるきまりや慣習があったら、「多元的無知」かもしれないと考えてください。