紙という素材は、言語に関わる脳活動に影響を与える

教科書をたくさん持ち歩くのは効率的ではないと、タブレットPCを教科書代わりにしようと、一時期盛んに言われました。
しかし、この頃はそのような主張は下火になっています。その理由は、脳にとってタブレットPCはあまり効果的でないことが分かってきたからです。

脳科学者の篠原菊紀氏が、以下のような実験をやってみました。

「被験者にはメガネ市場に関するプレゼンテーションを聞いてもらい、手元の資料が「紙」である場合と同じ内容を「タブレット」で閲覧する場合とで脳活動に差があるかどうかを調べた。また、プレゼンの終了後に、内容をどれくらい覚えているかを確認するテストを実施した。」

その結果、脳の活動については、左側の前頭前野の活動に有意な差が出ました。
左側の前頭前野は、特に言葉にかかわるワーキングメモリーとかかわっています。ここがタブレットより紙の資料の場合のほうが活発に活動したのです。

プレゼン後の内容確認テストでも、紙の資料を見たときの平均正答数は、タブレットで資料を見たときのそれと比べて約11%多かった。つまり、紙の資料のほうがプレゼンの内容をよく覚えていたのです。

紙という素材は、言語に関わる脳活動に影響を与えるのです。

やはり、教科書は紙の方がよいようです。

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笑いも伝染する

笑いがあるクラスの方が、緊張してガチガチのクラスよりも、時にリラックスして、学習の習得の効率がよいということを、昨日話しました。 それに加えて、笑いには「幸せを伝染させる」という「笑いの効用」があるのです。

このメルマガで、「ミラーニューロン」のことを話題にしました。
その時は、「涙は伝染する」という話題でした。

ミラーニューロン=共感細胞は、自分とは別なものの行動を観察しているだけで、 自分もその行動を鏡のように追体験しようとします。ミラー(鏡)ニューロンです。

そのミラーニューロンの働きによって、誰か1人涙を流すと、その涙を流す姿を見て共感し、他の人も次々と涙を流します。
涙の転校、涙の卒業式のトリガーは、一人の涙なんです。

そして、涙だけでなく、1人の笑いも伝染するのです。
一人がおかしてく笑うと、その笑う姿を見て共感し、他の人も笑っていきます。… 続きを読む

笑いは思考の休息です

サッカーでも野球に限らず、どんなスポーツでも、試合中ずっと緊張し、集中してプレイすることは困難です。
そんなことをすると、返ってパフォーマンスを崩してしまうのです。

緊張しすぎて柔軟に体が動かなくなったり、適切な判断を下せなかったりします。
結局、よいプレイができなくなるのです。

学習だって同じです。
「集中して、集中して。」「いい姿勢で先生の話を聞いて。」「耳はこっちに。」なんて、ずっと集中して緊張状態を保つことは、決していいことではないのです。

「交感神経」「副交感神経」という用語を聞いたことがあると思います。
自律神経といわれて、筋肉を動かす運動神経とは異なって、意思とは無関係に「自律」して、体をコントロールしているものです。

「交感神経」は「闘争の神経」とされ、日中に優位に活動する緊張モードの神経です。
一方、「副交感神経」は「休息の神経」とされ、夜間に優位に活動するリラックスモードの神経です。… 続きを読む